煮物やお味噌汁で親しまれるサトイモ。日本人にとってはすっかり食卓の味ですが、このサトイモ、植物学的には「サトイモ科」という大家族の一員です。
同じ仲間には、観葉植物として人気の「アロカシア」がいます。ハート形の大きな葉や、白い筋がくっきり入った葉を広げる姿は、室内にひと鉢あるだけで南国の雰囲気を漂わせてくれる存在。私たちが食べるサトイモと、インテリアグリーンとして愛されるアロカシアが”親戚同士”だと知ると、ちょっと驚きがありますよね。
ただしここで注意が必要です。観葉植物として流通するアロカシアは、食用にはできません。葉や茎には「シュウ酸カルシウム」という針状結晶が多く含まれていて、生で口にすると強い刺激やかゆみを起こします。サトイモは長い歴史のなかで食用品種が選抜され、調理法も工夫されてきたからこそ食卓に並んでいるのです。
つまり、サトイモ科の植物は人間にとって「食べる」ものと「眺める」ものに大きく分かれてきたということ。どちらも人の暮らしに欠かせない存在であることに変わりはありません。
観葉植物のアロカシアを眺めながら、「これは食卓のサトイモの親戚なんだよ」と話してみると、日常の植物がぐっと面白く感じられるかもしれません。